よしながふみ対談集「あのひととここだけのおしゃべり(白泉社)」を読みました。
第1章 やまだないと×福田里香「私たちの大好きな少女マンガ」
第2章 三浦しをん その一「フェミニズムはやっぱり関係なくないのよ」
第3章 こだか和麻「ボーイズラブじゃないと描けないこと」
第4章 三浦しをん その二「やおいは男同士でなくてもいい」
第5章 羽海野チカ「メディア化するということ」
第6章 志村貴子「表現は選択できない」
第7章 萩尾望都「マンガ=24年組というくらい…」
第8章 堺雅人「大奥でのしあわせな出会い」
豪華なラインナップ。
初出はこんな感じで、堺雅人さんとの対談が載ってるのはこの白泉社バージョンだけです。
読み応えがありものすごく楽しかったのですがBLとかやおいとかに興味がない人は半分くらいは読めないのではないかな。たくさんの漫画家の名前や作品名が出てきます!
私とよしながふみ
最初に読んだのは中学生の頃だったと思います。時々「ウィングス」を読んでいて「西洋骨董洋菓子店」に出会いました。
ドラマも観ましたね~。
何しろ読みやすくてわかりやすくてグッとくる。
どんどんコミックスを買い集めていきました。ほとんどの作品を読んだと思います。
18歳のときに一度だけ夏コミに参加したのですが勿論真っ先によしながふみ先生のところに並びましたよね。※ご本人にはお会いできませんでした。
スラ○ダンクも大好きだったので買えるだけ買ったような気が…。
ちなみにその時買ったそのお宝本なんですけど数年前に友人に貸したまんまでいま手元にないんですよね。返せよ安藤。
しかし私も彼女からヤマシタトモコ数冊と「町でうわさの天狗の子」を借りたままである。
よしながふみの魅力
よしなが その子の生い立ちとか家庭環境とかわかってきて、「あ、だからこういうこと言うんだ」ってわかる瞬間がある。別にフェミニズム的なことじゃなくても、相手が「え?」って思うようなことを言ったときに、最初はわからないし腑に落ちないのが、ずーっとその人とおつきあいしてふとした瞬間に一気に回路がつながって「わかった!あなたの思考回路、こうなっているからこうなったときにこう考えるのね」ってわかる瞬間があって、それが面白いんです。
-(第2章 「フェミニズムはやっぱり関係なくないのよ」より)
私は昔から「この人好きだな」って少しでも興味を持ったりすると、年齢から生まれ育った場所から家族構成から、過去の出来事、考えていること、好きなもの…何でも根掘り葉掘り聞きたくなってしまいます。
失礼かと思うので実際に質問攻めにしたりあからさまに分析したりするわけではありませんが、人を紐解くというのは興味深いものです。
老若男女さまざまな人間がよく観察されさらっとリアルに描かれているのがよしながふみの魅力です。
作家同士、女性同士だからこその語らい
三浦しおんさんとの対談の中で個人的に一番興奮してしまったのはここ。笑
「よしなが (略)-新田祐克さんの『春を抱いていた』をハリウッドが映画化してくれたらいいのにって思うんですよ。」
その昔新田祐克さんのBL漫画「春を抱いていた」にドハマリしていたのです私は!!!
コミックスをいまだに捨てられないくらいに。複製原画を購入してしまうくらいに。笑
著作権問題(※背景の多数が写真のトレースだった)でケチがついてしまった感がありましたが、やっぱりあれは本当にパワーを感じる作品でした。
岩城さんも香藤もだいすきだよ!!!!!!!!!!!!
志村貴子先生との対談の中では「誰かとおしゃべりしたあと、帰って布団の中で反芻してじたばたするよね」みたいな会話があってとても共感しました。ありますよね、ありますよね…むしろない人っているの?ホリエモンとか?
お二方ともすんごい漫画家なのに「私なんか…」っていう気持ちがすごくあると。
そういう気持ちがあるから漫画家をやってるんだと、そんなお話をされていて、ますます好きになりました。
仲良しだという羽海野チカ先生との対談は何だかもう読んでいる間ずっと泣きそうになってしまっていました。
同人時代の思い出(お二人はプロデビュー前から同人ジャンルが同じでお知り合いだった)から、
「西洋骨董洋菓子店」「はちみつとクローバー」がメディア化することになった際の既存のファンへの想いや葛藤についてまで。
その道のプロ同士の語らいってどうしてこんなにも胸が熱くなるのでしょうか。
24年組の精神を受け継ぐよしながふみの漫画
24年組について詳しくはコチラなどを→ヤマダトモコ マンガ用語〈24年組〉は誰を指すのか?
萩尾望都、大島弓子、山岸凉子、竹宮惠子…よしながふみ先生は24年組の先生方の作品を沢山読んで育っていて、とてもお好きなんですね。
そして自身の作品は24年組の精神を受け継いでいるとお考えになっています。
漫画は好きだけど24年組の漫画をほとんど読んだことがないという方も多いのではないでしょうか?
かくいう私(30代前半)もその一人で、10代の頃に古い少女漫画を読むことはあまりありませんでした。
よしなが先生はそんな人たちに『24年組のマンガの面白さをもっとわかってもらいたい』と思ってらっしゃるのです。
よしなが 〈中略〉…私のマンガをまず入り口にしてもらえば、私のでまず慣れて頂く、というふうに考えるようになりました。少年マンガの文法に慣れている方だとたとえば私の『西洋骨董洋菓子店』での過去と現在が交錯するやり方がもうわからない方がいてびっくりしたんですが、よく考えれば少年マンガは時系列順にしか話が進まないから当然ですよね。だから、私の描くものをおもしろく思わなくてもいいから、とにかく文法に慣れてもらって、何かのきっかけで大島さんなり萩尾さんなり山岸さんなりの作品を読んだときにおもしろいと思ってもらうための訓練になればいいと。
このページを読んだとき「ああ私はまさしく、よしなが作品で『こんなふうな面白い漫画があるんだな』と感じて読み方を覚えて、そのお陰で萩尾望都や山岸凉子を読めるようになったのかも知れない」と思いました。
それまでは当時の「りぼん」や「別マ」、少年マンガをメインに読んでいたので。(他にも色々読んではいたけども)
よしながふみの漫画をいくつか読んだあとに萩尾望都と山岸凉子の短編を少しずつ読み始めたのですよね。この辺りから…
よしなが先生ほんとうにありがとう。
お礼にもっともっと漫画を読みます。
よしながふみのおすすめ漫画と、作中に出てくる実在作品
特に好きな作品をいくつかご紹介。
愛すべき娘たち
この単行本を読んでよしながふみが大好きになりました。
様々な考え方、生き方の女性たちとその周囲の人々が、滑らかな台詞まわしと絶妙なエピソードで見事に描かれています。
よしながふみ『愛すべき娘たち』 – 文芸的な、あまりに文芸的な
この漫画内で会話に出てきた橋口亮輔監督の「ハッシュ!」という映画が気になって観ました。良きでした。
「ぐるりのこと。」もたいへん素晴らしかった…
「二十歳の微熱」と「渚のシンドバッド」も観ました。中高生の頃、実写の同性愛モノを見漁っていた時期があって(どういう時期だ)。
因みに渚のシンドバッドには若いときの浜崎あゆみが出演しております。
「恋をするって、人を分け隔てるということじゃない」
という台詞が出てくるのですが、これ、当時全く同じことを考えていたので本当にびっくりしました。
誰かを愛するってことはつまり排他的な行為なんじゃないかと。
フラワー・オブ・ライフ
学校生活や人間関係が軽快ながらリアルに描かれています。
出てくる人が全員魅力的なんだー。みんな大好きになってしまう。
クライマックスは何度読んでも涙が出ます。
春太郎のね、楽しい毎日がきっちり描かれているからなんですよね。だからこのシーンでどうしたって泣ける。
お姉ちゃんとのやりとりも好き。辻が告白するところもすごく好き。好きしか言えない。
中島敦の「山月記」と新川和江の「私を束ねないで」をこの漫画がきっかけで知り大好きになりました。
一限目はやる気の民法
初期のBLから一作。
名門大学の法学部が舞台。初版1998年って…20年も前とかまじか…。
よしなが先生は慶應の法学部出身でいらっしゃるのでリアリティがあります。高学歴~。
「きのう何食べた?」でも弁護士さんが出てきますね。
主人公カップルももちろん魅力的ですが2巻では別カップルの話が出てきまして(※白泉社文庫では全2巻が1冊にまとめられています。2巻収録分はもともと同人誌で発表されたもの。)
いちばん最後に載っている「彼は美しい人だった」という話がとても素敵です。
優秀で遊び慣れた男子高校生ふたりが恋人?関係となり、
ずっとエリートで通ってきた先輩が少しずつ勉強に苦しみ始めて、司法試験に受からずノイローゼになってしまう…というあらすじなのですが。
先輩…。
ほんとめっちゃ好き。泣けます。
「風の谷のナウシカ」は映画もいいけど原作も読まないとね。うんうん。
おわりに
そんな訳でよしながふみへの愛をこれでもかってくらいに語ってしまいましたけれども、実は私
大奥はまだ読んでません!!!!!!!!!!!!
ズコー。
これから読みます。それでは。
お読みいただきありがとうございました☆☆
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